聞き書 大分の食事 豊後水道沿岸の食より
■朝―ねりに麦飯、ぶえん汁、つくり
夏は生いもがなくなるので、朝は、ねりや麦飯である。かんくろでつくったねりに、ささぎ豆を煮て混ぜたり、赤砂糖を少し入れることもある。ねりは、朝は茶わんに盛って食べ、冷えると三角のおにぎりにして、つりじょうけ(柄のある竹かご)にふきんを敷き、並べておく。ぶえん汁は小いわし、ぜんご、めばる、かながしらなど、売れない小魚を大根やねぎと一緒に煮た味噌汁である。
包丁を使わない手開きづくりは、新鮮で味も抜群。漁場でないと味わえないものである。ぜんごや小いわし、きびなごなどでつくる。
写真:夏の朝飯
膳内:〔上〕高菜漬、つくり。〔下〕麦飯、ぜんごとかながしらのぶえん汁/膳外:ねり
出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.72-73