新鮮な小魚は手開きのつくりにして―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年08月30日

聞き書 大分の食事 豊後水道沿岸の食より

朝―ねりに麦飯、ぶえん汁、つくり
夏は生いもがなくなるので、朝は、ねりや麦飯である。かんくろでつくったねりに、ささぎ豆を煮て混ぜたり、赤砂糖を少し入れることもある。ねりは、朝は茶わんに盛って食べ、冷えると三角のおにぎりにして、つりじょうけ(柄のある竹かご)にふきんを敷き、並べておく。ぶえん汁は小いわし、ぜんご、めばる、かながしらなど、売れない小魚を大根やねぎと一緒に煮た味噌汁である。
包丁を使わない手開きづくりは、新鮮で味も抜群。漁場でないと味わえないものである。ぜんごや小いわし、きびなごなどでつくる。

写真:夏の朝飯
膳内:〔上〕高菜漬、つくり。〔下〕麦飯、ぜんごとかながしらのぶえん汁/膳外:ねり

 

出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.72-73

関連書籍詳細

日本の食生活全集44『聞き書 大分の食事』

波多野道義 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540920011
発行日:1992/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

豊後・大分は、その名のとおり「豊の国」。県内各地には名物料理が目白押し。大分市の「ほうちょう」、豊後水道沿岸の「さつま」「かまぼこ」、竹田の頭料理、臼杵の黄飯、きらすま飯、日田盆地のがめ煮……。
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