えつの刺身や煮つけで夏負け防止─日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年08月27日

聞き書 佐賀の食事 有明海沿岸の食より

蒸し暑い夏、さらさらとした茶がゆや冷たいそうめんは、のど通りがよく食もすすむ。
夕―茶がゆ、えつの刺身、えつの煮つけ、かぼちゃ煮しめ
えつは生きているものを刺身にし、死んだものは煮つけにする。えつの刺身は甘みがあり、食がすすむ。刺身や煮つけは、暑さでまいったからだに精がつく。
かぼちゃも家でつくっている。夏は青ものが少ないので、かぼちゃがとれると助かる。いりこ、干しえびなどを入れて炊いたのをよく食べる。
夏の夜も、いたんだ漁網の繕いは男女の作業である。ゆで菱をつまみながら、精を出す。

写真:夏の夕食
上:かぼちゃ煮しめ、えつの煮つけ/下:茶がゆ、えつの刺身と刺身醤油

 

出典:原田角郎 他. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.71-73

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
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