夕涼みしながら味わう冷やしうどん─日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年08月23日

聞き書 福岡の食事 筑後南部クリーク地帯の食より

夜―冷やしうどんや冷やしそうめん
いりこのだしに、みずいもやたまねぎ、なすびなどを少し入れたかけ汁をつくり、冷やしたうどんやそうめんにかけて食べる。うどんは、家で麦粉をこねてつくり、そうめんは行商人や精米所で麦粉と交換する。
ときにはだご汁をつくったり、さね飯が残っていたら食べる。ほかにしょんしょんやがね漬も添える。夕ごはんは、外にばんこ(夕涼み台)を出して食べる。
夕立でもくれば、藺草を片づけるのに、戦争のようである。

写真:夏の夕食
冷やしうどん(みずいも、たまねぎ、なすび、いりこ)、膳外は、しょんしょん(上)とがね漬

 

出典:中村正夫 他. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.216-217

関連書籍詳細

日本の食生活全集40『聞き書 福岡の食事』

中村正夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860775
発行日:1987/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

玄界灘・有明海・周防灘の三つの海と、筑後川・遠賀川などの豊かな水にうるおう古代国家発祥の地・福岡の食は、ロマンと豊饒、篤き信仰心と伝統に育まれている。
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