おはぎ

連載日本の食生活全集

2021年09月16日

聞き書 埼玉の食事 川越商家の食より

ご先祖をお迎えするお盆と春秋のお彼岸につくる。甘いものの好きな家族が心待ちにするものの一つで、黒いおはぎが幾十となく飯台に並んでいるのは、見るだけでも食欲がわく。
小豆を水から煮て、煮たったら二度ほどあく抜きにゆでこぼし、また水からゆでる。いきなり熱いのをあけて水を使うので小豆のびっくり炊きという。小豆がやわらかくなったところで砂糖と少々の塩を加え、甘く味つけする。冷えてからつぶし、適当なつぶしあんにしておく。
米は、もち米を五合、うるちを一合の割合で炊く。もち米は水加減をごはんの場合より少なめにしないとやわらかくなりすぎるから注意する。
あんのかわりにきな粉も使うと、お重に詰めたとき二色に飾ることができる。

 

出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.287-288

関連書籍詳細

日本の食生活全集11『聞き書 埼玉の食事』

深井隆一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910050
発行日:1992/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

「あさまんじゅうに昼うどん」は物日におけるきまりもの。小麦、さつまいも、狭山茶、深谷ねぎ、岡部の大根など自慢の作物もいっぱい。街道のうまいもの、鋳物工場の給食まで収録。
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