秋祭りから庭仕舞いまで―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年10月27日

聞き書 岩手の食事 県央の食より

秋ぶるまい(庭仕舞い)
農作業が全部終わったあとに秋ぶるまいをする。この日は新しいもち米で秋もちを搗き、酒肴といっしょに田の神に供えて収穫を感謝する。ごちそうの一例をあげると、つぎのようなものをこしらえて食べる。もち(小豆もち、くるみもち、ごまもち、おつけもち、納豆もち)、刺身(たこ)、いかと芋の子の汁、なます(大根)、あえもの(菊の花のごまあえ)、甘煮(干し豆腐、にんじん、ごぼう、かぼちゃ、身欠きにしん)、するめのかす漬、漬物。
豊富な作物を目の前にして収穫の喜びにひたり、丈夫で働けたことを神仏に感謝し、家族全員の労をねぎらうために、主婦は、この日は材料もふんぱつして、ごちそうづくりにはげむ。
これが終わると、いよいよ長く厳しい冬ごもりの季節になる。

写真:秋ぶるまいのごちそう
膳内上:(左から)焼き魚(さけ)、まぐろの刺身/中:(左から)菊のごまあえ、たこ、煮しめ/下:(左から)酒、なます、いかと芋の子煮、するめのつくだ煮
盆内上:(左から)ごまもち、おつゆもち、くるみもち/下:(左から)納豆もち、小豆もち

 

出典:古沢典夫 他編. 日本の食生活全集 3巻『聞き書 岩手の食事』. 農山漁村文化協会, 1984, p.135-136

関連書籍詳細

日本の食生活全集3『聞き書 岩手の食事』

古沢典夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540840227
発行日:1984/9
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

県北の雑穀文化圏・県央の粉食文化圏・県南のもち文化圏・海の幸豊かな三陸沿岸・山の幸の奥羽山系の5地域に分け、地域毎に紹介。日本人の食の原型を見ることができる。
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