聞き書 兵庫の食事 神戸の食より
通常すき焼きといえばかしわで、牛肉よりかしわのほうが値段も高い。黄色い脂のついたかしわで、脂がなべの味を豊かにする。かしわのすき焼きの場合は、平時使用している座敷でするが、牛肉の場合は、炊事場の板の間とか縁側などの神棚のないところか、神棚から見えないところを選んでする。また、かしわの場合は平なべとか土なべを使い、牛肉はフライパンか鉄なべを使う。
かしわのすき焼きは、なべを熱してかしわの脂を敷いたあと、水を入れてから、かしわ、野菜類を入れ、醤油と砂糖を加えて煮る。
牛肉の場合は、なべを熱して牛脂を溶かしてから、肉を広げて入れ、手早く砂糖を入れて肉を炒め、肉の色が変わると醤油を入れる。そして野菜などの具を入れる。
かしわのすき焼きでも牛肉のすき焼きでも、具は、ねぎかたまねぎ、青菜、ごぼう、大根、じゃがいも、こんにゃく、焼き麩など。
写真:牛肉のすき焼き
牛肉、こんにゃく、麸、しゅんぎく、ねぎ、白菜など
出典:和田邦平 他編. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.27-27