秋の野菜とはねもんの魚を使って、ぬくもるもんを―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年11月17日

聞き書 宮崎の食事 日南の食より

夜―いも飯、ぼったり汁、のたいも、はねもんの刺身
ぼったり汁は、魚のすり身を湯に落とし、ねぎを薬味にちらして醤油で味をつける。えそなどの白身の魚のほうがおいしいが、あじもよい。
のたいもは、小さなくず里芋を上手に使った料理である。ゆでた里芋に白あえの衣に似たものをまぶしてつくるので手がかかり、雨の日などの漁のない日でないとつくれない。
はねもんのまびき、はがつお、よこわなどがあるときは、刺身にする。刺身のつまは、いもがら(といも(里芋の一種)の茎)を薄く切ったもの。
秋にはほかに、はねもんの赤むんの味噌おつけ、はねもんの魚と里芋、大根の煮つけ、とんきゅういかと大根の煮つけなどをよくする。大根の煮つけには必ず魚を加えて炊き、大根だけを煮つけることはない。まびき、いわし、はがつおは塩煮にする。

写真:秋の晩飯
上:のたいも、まびきの刺身といもがら/下:いも飯、ぼったり汁

 

出典:田中熊雄 他編. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.290-291

関連書籍詳細

日本の食生活全集45『聞き書 宮崎の食事』

田中熊雄 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540901010
発行日:1991/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

伝説に彩られた山深き里、古来「日向の国」と呼ばれた太陽の国・宮崎。焼き畑の村に、陽光そそぐ平野に、霧島のぞむシラスの台地に、黒磯洗う浜に、なつかしい食と暮らしをたずねた南国の食の記録。
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