聞き書 宮崎の食事 延岡の食より
■昼―朝の残りの麦飯と味噌汁、大根おろし、大根葉の一夜漬
間引きのすんだ大根は、秋風とともに太くなる。指で輪をつくったほどの太さになったら、待ち切れずに引き抜いて、生のみずみずしさを味わう。それには大根おろしが一番で、大きくそぎ切りにし、そのまま味噌または酢味噌をかけて食べる。いも掘りには忘れず味噌と酢を持って行き、丸々太った大根を、大根の葉っぱで泥をぬぐっただけで、鎌でそいで食べる。新鮮な冷たさが心地よい。
大根なますには、かぶす(かぼす)、だいだい、ゆずなどの木酢を使えば申し分ない。いかや魚と煮つけて味のよくしみた大根はまた最高で、秋大根のおいしさは格別である。
写真:秋の昼食
上:大根おろしと酢味噌、大根葉の一夜漬/下:麦飯、味噌汁(毛いも、大根、にら)
出典:田中熊雄 他編. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.70-71