生でよし煮てよし、おいしい秋大根―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年11月18日

聞き書 宮崎の食事 延岡の食より

昼―朝の残りの麦飯と味噌汁、大根おろし、大根葉の一夜漬
間引きのすんだ大根は、秋風とともに太くなる。指で輪をつくったほどの太さになったら、待ち切れずに引き抜いて、生のみずみずしさを味わう。それには大根おろしが一番で、大きくそぎ切りにし、そのまま味噌または酢味噌をかけて食べる。いも掘りには忘れず味噌と酢を持って行き、丸々太った大根を、大根の葉っぱで泥をぬぐっただけで、鎌でそいで食べる。新鮮な冷たさが心地よい。
大根なますには、かぶす(かぼす)、だいだい、ゆずなどの木酢を使えば申し分ない。いかや魚と煮つけて味のよくしみた大根はまた最高で、秋大根のおいしさは格別である。

写真:秋の昼食
上:大根おろしと酢味噌、大根葉の一夜漬/下:麦飯、味噌汁(毛いも、大根、にら)

 

出典:田中熊雄 他編. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.70-71

関連書籍詳細

日本の食生活全集45『聞き書 宮崎の食事』

田中熊雄 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540901010
発行日:1991/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

伝説に彩られた山深き里、古来「日向の国」と呼ばれた太陽の国・宮崎。焼き畑の村に、陽光そそぐ平野に、霧島のぞむシラスの台地に、黒磯洗う浜に、なつかしい食と暮らしをたずねた南国の食の記録。
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