聞き書 大分の食事 祖母・傾山麓の食より
■年取り(大みそか)
気のせわしいなか、畑に埋けてある大根や里芋を掘りに行く。ごぼう、にんじん、ねぎなども用意して、年取り膳のしたくをする。年取り祝いは昼にする家と夜にする家とがある。
年取り膳は塩鮭、数の子のほか、里芋、しいたけ、にんじん、ごぼう、大根、豆腐、こんぶの煮しめ、七度ぶろ(うずら豆の一種)の煮豆などが例年並ぶ。塩鮭は手に入った年だけで毎年は食べられない。このほか、新そばを石臼でひいて、ほうちょう(そばきり)をつくり、必ず年越しそばを食べる。
みんなの歳の数を確かめ合って、なごやかな年取り祝いをする。
写真:年取り膳
膳内:〔上〕煮しめ、塩鮭。〔中〕数の子、煮豆。〔下〕白飯、酒、吸いもの(豆腐、ねぎ、卵)/膳外:酒
出典:波多野道義 他編. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.113-115