聞き書 兵庫の食事 播州平野の食より
■昼―麦飯、にゅうめん、こうやの煮もの、漬物、もろみ
麦飯は朝の分と一緒に炊いたものなので、昼ごろになると冷えてしまっている。そこでお菜は温かいものが好まれる。朝の味噌汁に水と味噌を足し、すぐ煮えるよう薄く切った大根やねぎ、またはこいもやみずななどを加え、たっぷりのそうめんを入れる。味噌汁というよりは、味噌仕立てのにゅうめんである。汁が多いと「味噌汁」、汁気が少なくそうめんが多いと「にゅうめん」といっている。朝食に使ったばちもそうめんの一部分だが、ばちはにゅうめんに使われることはない。
お菜として、季節の野菜などを煮て醤油で味つけしたものや、乾物の切干し大根やこうや(高野豆腐)の煮たものを皿に盛る。お菜の味つけには、砂糖やみりんなどはほとんど使われることはない。
漬物は、よく漬かった白菜漬(山東白菜の塩ぬか漬)やおこうこが添えられる。生醤油をかけて食べる。
写真:冬の昼食
上:こうやの煮もの、白菜漬/下:麦飯、にゅうめん
出典:和田邦平 他編. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.109-111