聞き書 大阪の食事 和泉海岸の食より
■朝飯―いもがゆ、ごよりと豆、こうこ
打瀬網漁は春、夏、秋は夕方からの出漁であるが、冬は朝、船出する。冬の朝の船出はつらい。まだ夜の明けぬうちに朝飯を食べて家を出る。
朝飯は、いもがゆ、ごよりと豆(ごよりと大豆を炊いたもの)、こうこ。ごよりは、小さすぎて売りものにならないじゃこ(小えび)や小魚を干したもの。冬のごよりは乾きが悪く、固いが、何もないときのなによりのごちそうである。
昨夜のごはんに熱い番茶を入れて炊いた入れがゆと、ごよりと豆で食べるときもある。また、「いも茶」といって、冷やごはんに蒸したさつまいもをのせ、番茶をかけて食べることもある。白いさつまいもがおいしい。
朝、いもがゆや入れがゆにするのは、漁に行く前に暖をとるためである。
写真:冬の朝食
上:ごよりと豆(大豆)、こうこ/下:いもがゆ
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.289-290