聞き書 奈良の食事 葛城山麓(竹内)の食より
■昼――ごはん、かますごの三杯酢、ちしゃのはりはり、わかめとねぎの味噌汁、古漬の水出し
秋に種を播いたちしゃが青々としてくると、葉をかいて、おひたし(ごま醤油あえ)やおあえ(ごま味噌あえ)にして食べる。ちしゃとたけのこはあいくち(相性がよい)で、ちしゃとたけのこのおあえのほか、たけのこの木の芽あえにもちしゃは欠かせない。丸干し大根の薄切りを入れたちしゃのはりはりもつくる。青菜はざるに山ほどあっても、ゆがくとどんぶり一杯ほどにしかならないので、「青菜は男に見せるな」という。
魚屋さんがかますご(いかなご)を売りに来ると、たまに買っておかずにする。ゆでてあるので細いかますごはそのまま食べられるが、太いものは焼いてから三杯酢をかけて食べる。三杯酢をかけると骨までやわらかくなって丸ごと食べられる。
写真:春の昼飯
上:ちしゃのはりはり、かますごの三倍酢/中:古漬の水出し/下:ごはん、わかめとねぎの味噌汁
出典: 藤本幸平 他編. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.103-104