無塩のきびなごに春の香のよめなを添えて――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年04月17日

聞き書 愛媛食事 宇和海(西海)・宇和島の食より

晩――つめ飯、きびなごの煮つけ、よめなの白あえ、こうこ
つめ飯もつめがゆと並んで、日々の食事の中心である。沸騰したお湯におつめを入れ、混ぜてふたをする。ほどよく煮えたところでつりじょうけ(手のついたかご)に移し、それぞれの茶わんに盛る。熱くても冷めても味は変わらない。
きびなごはちょうどしゅんで、無塩のものを味噌で味つけして煮る。
よめなは比較的近くの道端から摘んで洗い、色よくゆがいて、よくすった豆腐であえる。ほのかな春の香がただようおかずである。

写真:春の夕食
上:よめなの白あえ、こうこ/下:つめ飯、きびなごの煮つけ

 

出典: 森正史 他編. 日本の食生活全集 38巻『聞き書 愛媛の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.21-22

関連書籍詳細

日本の食生活全集38『聞き書 愛媛の食事』

森正史 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540880452
発行日: 1988/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

魚あふれる瀬戸内、宇和の海。春はいだが川面をさかだて夏はあゆが水底に踊る肱川。五穀ゆたかな山間の田畑。海、山、川、平野の四季の移ろいと暮らし、食をつぶさに描く。
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