寒い日は赤ごぜの味噌汁─日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年02月25日

聞き書 佐賀の食事 有明海沿岸の食より

夕―白飯、魚のあら炊き、大根煮しめ、赤ごぜの味噌汁、おこもじ
夕方は、茶がゆを新たに炊くことが多いが、四、五日おきに白飯を炊く。
たい、ちぬ(くろだい)など、少し大きな魚が手に入ると、二枚におろし、それをぶつ切りにし、醤油に少し水を足して煮る。魚を引きあげたあとに、さっとゆでた輪切りの大根を入れて煮る。しゅんの大根の味はおいしい。魚の味噌汁は、赤ごぜをよく使う。寒いときのこの魚の味噌汁は、からだが温まり、おいしいので、冬はよく食べる。漬物はおこもじ(高菜漬を小さく切ったもの)である。
夜には、女は男たちの作業着の繕いや家族の衣類の繕いなどをする。男たちが漁から帰ってくると、漁網の繕いを夜おそくまで手伝う。

写真:冬の夕食
上:おこもじ、あかむつのあら炊きと大根煮しめ/下:白飯、赤ごぜの味噌汁

 

出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.65-67

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
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