聞き書 佐賀の食事 有明海沿岸の食より
■夕―白飯、魚のあら炊き、大根煮しめ、赤ごぜの味噌汁、おこもじ
夕方は、茶がゆを新たに炊くことが多いが、四、五日おきに白飯を炊く。
たい、ちぬ(くろだい)など、少し大きな魚が手に入ると、二枚におろし、それをぶつ切りにし、醤油に少し水を足して煮る。魚を引きあげたあとに、さっとゆでた輪切りの大根を入れて煮る。しゅんの大根の味はおいしい。魚の味噌汁は、赤ごぜをよく使う。寒いときのこの魚の味噌汁は、からだが温まり、おいしいので、冬はよく食べる。漬物はおこもじ(高菜漬を小さく切ったもの)である。
夜には、女は男たちの作業着の繕いや家族の衣類の繕いなどをする。男たちが漁から帰ってくると、漁網の繕いを夜おそくまで手伝う。
写真:冬の夕食
上:おこもじ、あかむつのあら炊きと大根煮しめ/下:白飯、赤ごぜの味噌汁
出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.65-67