脂ののったいわし、くじらのいりやきでごはんも進む─日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年02月09日

聞き書 佐賀の食事 玄界灘沿岸の食より

昼飯―麦飯、いりやき、いわしの刺身、大根漬
ごはんを炊くのは昼だけで、麦だけのごはんである。昭和になり、呼子町の精米所でしゃぎ麦(押し麦)ができるようになったので、麦搗きもしなくていいようになり、炊くのも楽になった。ぱさつくのを防ぐため、炊きあがってから五分ほどしゃもじで混ぜる。
この時期は名護屋浜の捕鯨船で毎日ミンクくじら(いわしくじら)がとれるので、皮くじら(背側の脂身)を使ったすき焼き風のいりやきをどこの家でもつくる。脂がのった大羽いわしは、まず刺身で食べる。山や畑は遠くとも一五分くらいのところにあるので、温かい昼飯をとりに帰ってくる。

写真:冬の昼飯
上:大根漬、いわしの刺身/下:麦だけの麦飯、いりやき(くじら、大根、ごぼう、ねぎ)

 

出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.152-154

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
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