わらびたたき

連載日本の食生活全集

2022年04月12日

聞き書 山形の食事 県北最上の食より

わらびたたきの音が、隣りの家からも、その隣りの家からも、とんとん、とんとんと聞こえてくると、最上地方にもすっかり春が訪れ、農作業が忙しい季節になる。
わらびは、まずあくを抜く。わらびを銅なべに並べ、木灰を一面にふり、熱湯を上からかぶるくらい注ぎ、おとしぶたをして軽く重石を置き、一晩おく。次の日、水洗いして、早く食べたいときは、熱湯をくぐらして水にさらす。すぐ食べないときは、わらでゆわえて、流れ水につけておくと自然にあくが抜ける。
あく抜きしたわらびの水気をよく切って、まないたの上で、すりこぎでたたきながら、つぶす。さらに包丁で切り、とろみが出るまでたたき続ける。へらに味噌をつけて焦げめをつけ、すり鉢でよくすり、さんしょの葉を入れて香りをつけ、たたいたわらびと一緒に合わせる。

写真:わらびたたき
春の訪れとともにつくる。

 

出典:木村正太郎 他編. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.132-132

関連書籍詳細

日本の食生活全集6『聞き書 山形の食事』

木村正太郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540880445
発行日:1988/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

山形の「母なる川」最上川が結ぶ置賜盆地、村山の平野と山間、県北の最上、庄内平野。暮らしの柱にある米と結びついた山と海の幸のすべてを紹介。加えて、羽黒山修験道の食、酒田海船問屋の食を再現。
田舎の本屋で購入

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