4度の飯も仕事のうち―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年04月18日

聞き書 千葉の食事 利根川流域の食より

一年のうちでもっとも厳しい仕事の続くこの季節は、からだの疲れを少しでもとるためにたっぷり食べる。遠い田での野良仕事には、重箱にたくさんの塩むすびと漬物を入れて持って行き、あぜにむしろを敷いて昼飯やお茶にする。
なんのごちそうがなくとも、野鳥のさえずりの下でおなかをすかせて食べるその塩むすびの味は格別である。
お茶どき―塩むすび、たくあんこうこ
朝つくっておいたにぎりこぶしぐらいの大きな塩むすびと、漬物を食べる。むすびにごまがかかっていれば上等だ。つくりおきしておいたかきもちやあられ、種籾の残りを炒って砂糖醤油をからめたこめりも、一緒にしょいかごに入れて持って行き、田のあぜで食べる。

写真:春のお茶どき
塩むすび、あられ、かきもちで腹ごしらえする。

 

出典:高橋在久 他編. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.286-288

関連書籍詳細

日本の食生活全集12『聞き書 千葉の食事』

高橋在久 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890024
発行日:1989/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

黒潮が打ち寄せる房総半島は日本でも屈指の好漁場。いわし・かつおに代表される海の幸と利根川の魚、台地の作物が食膳にのぼる。太巻ずしはこの地の伝統食。女性が築いた食の営みを記録する。
田舎の本屋で購入

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