聞き書 神奈川の食事 相模原台地の食より
■夕飯―とっちゃなげ、たくあんの油炒め
畑からの帰りがおそくなったときは、とっちゃなげにすると、うどんよりよほど手早くできる。大なべに大根やねぎや里芋などあり合わせの野菜を入れてたっぷりのお汁で煮こみ、小麦粉をこねてちぎりとっちゃ、煮えたったなべの中に投げこみ、味噌仕立てにする。忙しいときほどちぎり方がぞんざいになり、大きくなる。五合くらいの粉でもしこたまできて野菜がたっぷりなので腹がくちくなり、家族の評判もよい。とっちゃなげは、すいとんとも煮だんごともいう。
たくあんは五月も末になると酸っぱくなり味もおちるので、いちょう切りやせん切りにして水につけて塩出しし、油で炒めると、またおいしく食べられる。
写真:春の夕飯
たくあんの油炒め、とっちゃなげ
出典:遠藤登 他編. 日本の食生活全集 14巻『聞き書 神奈川の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.145-146