聞き書 大阪の食事 大阪月給とりの食より
八百屋にどっとあふれるふき、たけのこ、えんどう豆、それにわかめは家中の好物。えんどうごはん、たけのこごはん、ふきとわかめ、たけのことわかめ、えんどう豆とわかめとたけのこの炊き合わせは、春中、くり返し食卓にのぼる。庭のさんしょうの木の芽をぱんとたたいて、吸いものや炊き合わせに添える。
若ごんぼ(葉ごぼう)も、この季節だけのもの。ごぼうの根より茎の部分が多い若ごんぼを、厚揚げと炊いたりする。ほんの半月ばかりで、いつの間にか八百屋の店先から姿が消える。季節感を強く感じる食べものの一つだ。
■夕―えんどうごはん、生節と焼き豆腐の炊き合わせ、はまぐりのお澄まし、漬物
生節は、ふき、たけのこと炊き合わせてもおいしい。甘からく炊いた生節の身をほぐして、押しずしをつくる家もある。
春は貝がおいしい季節。はまぐりとあさりのお澄ましは、よく食卓にのぼる。
写真:春の夕食
えんどうごはん、生節と焼き豆腐の炊き合わせ、はまぐりのお澄まし
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.115-116