聞き書 青森の食事 南部〈八戸〉の食より
梅漬は毎年五升がめ一杯は漬ける。
梅は一晩水に入れてあく抜きし、一升の梅に塩を茶わんで二杯入れ、しょっぱい梅漬にする。だから、何年たっても悪くなることがない。
梅と同じころにできる赤じその葉をよく洗い、すりおろした青梅でよくもみ、色出しをする。これを梅漬のかめに漬けこみ、軽く押しぶたと重石をして、漬物小屋にとっておく。
土用に入ったら、三日三晩、かめを外に出し、押しぶたと重石をとって日に当て、また小屋に保存しておく。
竜神さまは梅の種をきらうので、沖に出るときに持っていくおにぎりには、種をとった梅漬を入れる。また、梅漬の種はけっして海にすてないことにしている。
写真:漬物のいろいろ
〔中央上から時計回りに〕大根の水漬、たくあん漬、がっくら漬、にしん漬、味噌漬(ごんぼ、にんじん)。中央は梅の丸子漬。
出典:森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.297-297