のど越しよい冷や汁で食を進める─日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年07月28日

聞き書 佐賀食事 玄界灘沿岸の食より

夕飯―昼の麦飯、かんころ飯、冷や汁、小あじのせごし、ゆでなす
のど越しのよい冷や汁は、食欲がないときでもついおかわりしてしまう。じいやんが釣ってくるほり(べら)の身を焼いてほぐし、するめ、きゅうり、しそを入れ、味噌味をつけて井戸水でのばしたものである。とりたての小あじのせごしはいつも食べるものだが、刺身づくりは男の仕事で、じいやんがすぐつくってくれる。夕飯のかんころ飯には、ふたなりの新豆を入れるとひと味違ってくる。
夕方の牛迎えは年中子どもの仕事である。小学二年にもなれば、牛のお尻をちょっとたたけば岬まで連れてゆけるし、夕方はどこの子も牛とかちなって(連れだって)帰ってくる。種付けをすると、まやに暦を貼り、みんなで出産を待ちわびる。波戸では、子持たせ牛として現金収入につなげる。波戸の牛は磯を歩くので爪が強いため、佐志村に牛市が立つと、よか牛として高値に売れる。

写真:夏の夕飯
上:ゆでなす、あじのせごし/中:せごしをつける酢ぬた/下:麦飯、冷や汁/じいやんにはお酒を一杯添えて。

 

出典:原田角郎 他編. 日本の食生活全集 41巻『聞き書 佐賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.162-163

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集41『聞き書 佐賀の食事』

原田角郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910043
発行日:1991/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

稲作と茶と磁器発祥の地佐賀は、クリーク農業の地。佐賀平野の米とクリークの魚が食の基本。玄界灘と有明海という二つの海からは対馬暖流と干潟の恵みが四季の食膳をにぎわす。
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