聞き書 大阪の食事 大阪月給とりの食より
大阪の夏、とくに夕方六時ごろは、風がぴたりと止まって、蒸し暑さはことのほか。夕涼みがてら、夜店に出かけたり、家の外の床几で将棋がはじまったりする。
夏の間は、木製で中はブリキを張った冷蔵庫に氷を入れ、豆腐やそうめんを冷やしたり、はもやこいのあらいに氷を砕いて使う。すいかやまっか(まくわうり)は井戸につるして冷やす。暑さにげんなりして、きゅうりやなすびの浅漬でお茶漬さらさらという日も多い。
■昼―そうめん
暑くて食欲がおきない日中は、そうめんですますことも多い。
そうめんのおつゆは、まず、かつお節とこんぶでとっただしに、醤油、砂糖、あるいはみりんで、少し甘みの入った味に仕あげて冷やす。薬味に、青ねぎ、土しょうがを添え、ゆずが市場に出てきたら皮を少しすりおろして香りを加える。かまぼこ、しいたけ煮、みつば、錦糸卵などを添える。
写真:夏の昼食
そうめん(かまぼこ、しいたけ煮、みつばを添える)、つゆ(青ねぎ、土しょうが入り)
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.118-120