あついあついと、実だくさんのだんご汁―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2022年08月23日

聞き書 東京食事 水郷・葛飾の食より

夏の農作業は、田植えにはじまり、キャベツ、きゅうり、なすなどの収穫と出荷、ねぎの定植、枝豆の出荷、山東菜や大根の種播きと続く。
夏は野菜が豊富にとれるので、市場に出したあとに残った野菜を利用して、さまざまな料理をつくる。汁ものにもたくさんの野菜を入れる。
味つけは、砂糖と醤油のほかに味噌をよく使う。油で炒めて味噌で煮こんだり、ごま味噌あえにする。油は、あぶらなの種を店に持って行き、しぼってもらったものを使う。
ごはんは、麦を入れると腐りやすいので、夏だけは白米飯である。
昼―白米飯、なすのしん焼き、かぼちゃの煮もの、大根の梅酢漬
白米飯にすることが多いが、ときにはうどんやそばを食べることもある。おかずには、なすのしん焼き、ちりめんかぼちゃの煮ものなどをよくつくる。それに、大根の梅酢漬がさっぱりしていてよく合う。
そのほか、新鮮なきゅうりできゅうりもみをしたり、キャベツの酢のものをつくることもある。夏はちょっと酢を使ったものがあると、疲れがとれるような気がする。
ときには、冷ややっこにおろししょうがを添えて暑さをしのぐこともある。けれども冷ややっこは、つましい日常の食事には、そうたびたび出るものではない。たまに豆腐を買い、みんなで分けて食べる。

写真:夏の昼飯
上:かぼちゃの煮もの、大根の梅酢漬/下:白米飯、なすのしん焼き

 

出典:渡辺善次郎 他編. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.164-166

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集13『聞き書 東京の食事』

渡辺善次郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870989
発行日:1988/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 384頁

昭和初期、巨大都市・東京人は何を食べ、どう暮らしていたか。下町と山の手、都市部と農村部に目配りしつつ、深川・本所・日本橋から世田谷・葛飾・大森・奥多摩・伊豆大島などでの四季折々の食事の世界を再現する。
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