聞き書 青森の食事 津軽の食より
■夕―白米飯、大根と油揚げの味噌汁、さんまの塩焼き、なすのからし漬
魚は、脂ののったさんまが目立つようになって、小なすのからし漬やきゅうりのなますが毎日のおかずとなる。
山かけがすぎると急に空気も澄み、しのぎやすくなり、岩木山がぐーっと近くなる。「お山が近くなりしたじゃ」が、このころのあいさつになる。
大きなかけご(きのこかご)を背負ったもんぺ姿の女子衆が、湯段温泉の奥の中村川の上流まで入ってきのこをとってくる。まいだけ、さもだし(ならだけ)、なめこ、むきだけ、ぬえど(えのきだけ)、ますだけ、赤きのこ、しいたけなどを、かけごいっぱいとって、夕方早めに引きあげ、その日のうちにえり分けて塩漬にしたり、干して保存用にする。まいだけのようないいきのこになると、とれる場所は子どもにも知らさず、毎年自分の場所としておく。
出典:森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.33-36