いかのしょうから

連載日本の食生活全集

2022年10月19日

聞き書 鳥取の食事 因幡海岸の食より


しょうから(塩辛)にするのは、生きのよいしまめいか(するめいか)、しろいか、剣先いかなどである。一年間食べる量として、いか一五はいくらいを用意する。
いかははらわたを出し、胴も足も繊維に直角に細く切る。茶褐色のうる(肝)は袋から出す。うるは、いか三ばい分しか使わない。多く入れると渋みが出るからである。いかに倍量の塩を混ぜ、うるも混ぜ合わせ、つぼに詰めて保存する。
漬けて一か月くらいから食べはじめ、とり出すごとによく混ぜておく。ふつう一年くらいで食べきるが、二年ほどねかせたものはどろどろになり、生ぐさみが消えてこくが出る。酒のさかなにしたり、冬は大根のしょうから煮をつくったりもする。
地引網で五月ころとれるごまめいわしや、六月ごろ湖山池でとれるぬかえびでもしょうからをつくる。

 

出典:福士俊一 他編. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.54-54

 

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5判上製 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
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