聞き書 栃木の食事 八溝山地(馬頭)の食より
ざく煮は人の集まりごとのあるとき、たとえば一月と十月のえびす講、五月の端午の節句、八月のお月見、山の神、お盆さま、さなぶり、お祭りなどには必ずつくる。
入れるものは季節によって少し違うが、だいたい、大根、にんじん、ごぼう、里芋、こんにゃくという組合わせにすることが多い。凍み大根、にんじん、ごぼう、こんにゃく、じゃがいも、ぜんまい、さつま揚げなどのときもある。ときには、身欠きにしんを入れるが、こうするとこくが出ておいしい。
野菜は切り口が三角になるよう斜めにころころ回して切る。水の中に煮干しを入れ、煮たったら、ごぼう、大根、にんじん、こんにゃく、里芋と入れ、砂糖少しと醤油を加えて中火で気長に、味がよくしみこむまで煮こむ。
写真:ざく煮
大根、にんじん、ごぼう、里芋、こんぶ、こんにゃく、にしんなどを入れる。
出典:君塚正義 他編. 日本の食生活全集 9巻『聞き書 栃木の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.228-228