聞き書 青森の食事 南部〈八戸〉の食より
■朝―ひえ飯、干し菜汁、焼き魚、漬物
炊きたてのひえ飯に、ふのりを入れた干し菜汁、それに焼き魚はいわしのことが多い。いわしは頭をとって、三斗樽に三本か四本は甘塩で漬けておくので、いつでも食べられる。いろりの火を手前にひき、四本足のついたあぶろご(焼き網)で焼きながら、口の中でじゅっとするほど熱いいわしを、ふうふう吹いて食べる。
漬物は、秋にひき続いてがっくら漬を食べるが、十二月に入ると、大根の水漬にかわる。みずみずしい大根を甘塩にして漬けた水漬は、おかずにもするが、お茶うけにしたり、「うまく漬かったな」と思うときには、寄合いなどにも持っていく。
写真:冬の朝食
上:いわしの塩焼き、大根のがっくら漬/下:ひえ飯、干し菜とふのりの味噌汁
出典:森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.258-260