みみうどん

連載日本の食生活全集

2022年12月28日

聞き書  栃木の食事 両毛山地(葛生)の食より


正月の晴れ食の代表的なものである。とくに年始の客が来たとき、手間をかけずにすぐ出せるよう、暮れのうちにつくって水に浸して冷やしておく。客が来るとすぐに汁をつくり、みみうどんをとり出し、汁の中でさっと煮るだけでできあがる。
つくり方は、うどんを打つのと同じように、小麦粉に塩を少々加えて水でこね、ねかせておく。それをめん棒でのして幅一寸三分、長さ二寸ほどの長方形に切る。これを耳のような形につくり、ゆでる。ゆであがったものは、水に浸しておくと、二十日正月のころまで保存できる。
食べるときは、煮干しでだしをとり、長さ一寸より長めに細く切ったにんじん、ぶつぶつと小さく輪切りにしたねぎを入れた、醤油味の汁で軽く煮る。客に出すときは、これに卵を落とす。薬味に、ねぎとゆずを入れる。

写真:みみうどんのつくり方
うどん玉をのして長方形に切る。耳のような形に丸めてくっつける。

 

出典:君塚正義 他編. 日本の食生活全集 9巻『聞き書 栃木の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.306-307

関連書籍詳細

日本の食生活全集9『聞き書 栃木の食事』

君塚正義 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540880322
発行日:1988/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

鮭食の伝統「しもつかれ」、伝統行事に食の歴史をとどめる栃木の食。海なし県栃木で多用される川魚、里芋。山と川と里の国栃木の習俗、行事、暮らし、食の姿を伝える。
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