うどん

連載日本の食生活全集

2023年01月13日

聞き書  山梨の食事 笛吹川上流の食より


具をたっぷり入れてつくるほうとうより、メリケン粉がたくさんいるので、来客のあるときか特別の日につくることが多いが、寒い冬の夜は、日常でもようめしとしてときどきつくる。ゆでたての熱いうどんを食べるのはなによりのごちそうである。
ごん鉢の中に塩を少しすりこんでから、メリケン粉を京枡二升入れ、ぬるま湯をやかんから少しずつ入れて、ちょっと固めに丸めてからよくでっちる。次にのし板の上で、のし棒で平らにのばしてゆく。適当にのばしたら、二寸五分くらいの幅に折りたたんで端から切り、めんをつくる。
沸騰した湯の中にめんを入れ、まなばしを釜底に入れてそっと持ち上げ、浮き上がったらできあがりなので、釜のままおろす。あつあつのうどんに大根のせん切り、山東菜などのゆでたものを混ぜて大皿に盛り、煮干しでだしをとったおつゆにつけて食べる。
おつゆは醤油汁にし、たまねぎやねぎ、油揚げなどの具を入れて煮て熱くしておく。お辛味(薬味)も、ねぎやゆずのみじん切り、あぶった青のりをほぐしたもの、かつ節をけずったものなどを小皿に盛っておき、各自好みのものをとり分ける。

 

出典:福島義明 他編. 日本の食生活全集 19巻『聞き書 山梨の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.101-102

関連書籍詳細

日本の食生活全集19『聞き書 山梨の食事』

福島義明 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900082
発行日:1990/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

徴兵検査で甲種合格率日本一といわれ、長寿県として有名な山梨の食の特徴は? 甲斐の山々に囲まれた海なし県ならではの雑穀、鳥獣、虫、魚の滋養豊かな食べ方、名物ほうとうの地域ごとの味わい方を紹介する。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事