聞き書 兵庫の食事 丹波の食より
■朝―麦ごはん、粕汁、納豆、大根おろし、大根の切り漬
麦ごはんは通常一日分を一度に炊き、小判形の長櫃に移しておく。
粕汁は酒粕が手に入るとよくつくる。新酒の粕を親類から送ってきたり、春近くなって帰ってきた百日稼ぎの杜氏からみやげにもらったりすると、たっぷりつくっておき、何度か温め直して食べる。手間がはぶけるし、からだもぬくもる。だしは、雑魚屋のうーさんから一ぴき買いした塩ますの頭や骨などのぶつ切りである。
納豆は、冬にはときどきつくる。ねぎをきざみこみ、醤油をかけて食べる。
大根の切り漬は、たくあんとともに冬じゅう食卓に出ない日がない。
写真:冬の朝食
上:納豆、大根おろし/中:大根の切り漬/下:麦ごはん、粕汁(油揚げ、大根、ねぎ)
出典:和田邦平 他編. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.247-249