聞き書 大阪の食事 天満雑貨商の食より
■夕ごはん――ぬくごはん、くじらのはりはり、塩こぶ、白菜ぬか漬
夕ごはんは、炊きたてのぬくごはん(温かいごはん)に魚のおかずをつけ、一日で一番ごちそうをする。寒い日は、からだがぬくもるなべものが家族に喜ばれる。
くじらのはりはり(くじらと水菜のなべもの)は一〇日に一度くらいつくる。関東炊き、かきの土手なべ、牛肉のすっきゃき(すき焼き)、牛肉と大根、ごんぼ(ごぼう)、こんにゃくなどを炊いた筑前炊き、粕汁などが寒い日のおかずである。かやくごはんもときどき炊く。
旦那さんには、晩酌のさかなにまぐろやいかのおつくり(刺身)をつける。旦那さんは、一升びんに一〇等分の筋目をつけ、毎晩一合ずつ楽しんでいる。
使用人は裏の別棟に住んでおり、食事もそこでめいめいの箱膳で食べる。お番菜の日が多いが、こん巻きやコロッケを買って添えることもある。
写真:冬の夕ごはん
塩こぶと白菜ぬか漬、ぬくごはん、くじらのはりはり
出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.74-77