聞き書 青森の食事 南部〈八戸〉の食より
■晩――ひえ飯、三平汁、わかめの豆腐あえ、どんこの逆さ焼き、たくあん
三平汁はそのときどきの魚で、いわし、さば、すい、あぶらめなどを二枚におろして、二つか三つに切り、軽く塩をふっておく。こんぶでだしをとり、大根を大きめにささがきにして入れ、煮えたら魚を入れて塩で味をつける。おろしぎわに、斜め切りにしたねぎをはなして食べる。魚の持ち味を生かした三平汁は、あっさりして毎日食べても飽きることがない。
わかめの豆腐あえは、わかめをもどしてお湯をかけ、豆腐を軽くしぼってすり鉢ですり、塩で味をつける。
脂っこい魚は串を逆さに打って焼くと、脂が魚全体にしみこんでおいしく焼けるので、どんこやにしんなどは頭を上にして逆さ焼きにする。
新しい山東菜が出るまでは、たくあん、きゅうりなどの古漬を食べることになる。
写真:春の夕食
ひえ飯にいわしの三平汁(いわし、大根のささがき、ねぎ)、どんこの逆さ焼き、わかめの豆腐あえ
出典:森山泰太郎 他編. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.263-266