聞き書 宮崎の食事 日南の食より
夏になると、生のからいもがなくなるので、干しかんしょ(干したからいも)の粉に塩味をつけて丸めてだごにし、ごはんが吹いてきたとき、上にのせて蒸す。干しかんしょのいも飯である。
しかし、干しかんしょの粉には限りがあるので、夏はたいてい麦飯。麦飯も夜に一度に炊いて、麦の一番多いところを夜に食べ、次の日の朝、昼、弁当用とおのおの三つのおひつにきっちり詰めておく。船の弁当用は、ほとんど米ばかりのところを詰める。こうして詰めた飯は、涼しいところへおかもちかご(ふたつきのかご。柄のついたものもある)に入れてつるしておく。
■昼――麦飯、ぬか漬、豆腐の醤油かけ
豆腐を売る店は一つの集落に一軒あり、子どもにおかもちかごを持たせて買いにやる。豆腐には、ほぐした火干かしか生節をのせ、醤油をかけて食べる。磯でとった小みななどの貝は塩ゆがきにする。また、あじのはねもんを開きにして干し、これを焼く。
あまりの暑さに飯のいたみそうなときや、飯の少ないときは、かぼちゃずし(かぼちゃ入りぞうすい)、大根ずし(大根入りぞうすい)をつくる。夏の大根ずしには、てんのぶ(丸干し大根)を薄く切ってお湯でもんで入れる。
写真:夏の昼飯
麦飯、豆腐の醤油かけ(生節をのせて)、きゅうりとなすびのぬか漬
出典:田中熊雄 他編. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.285-286