聞き書 鳥取の食事 伯耆山間の食より
■夕はん――麦飯あるいはうどん、さしさばの焼いたもの、なすびの浅漬
小麦は加工に出して干しうどんにしてもらい、米の補いとする。うどんは家族に喜ばれる。ゆでて冷やし、いり干しのだし汁を冷やしたものをかけて食べる。かんぴょう、皮むきえび、焼きさばなどを入れた醤油のかけ汁に、薬味はねぶか(ねぎ)、みょうがなどをきざんでのせる。やはり小麦を委託加工に出したり買ったりしたそうめんを、同じようにして食べることもある。うどんは、にゅうめん(煮こみうどん)として食べることもある。
無塩の海の魚はほとんどなく、さしさば(塩さば)や串にさして焼いた焼きさばが主である。塩ますは一番安い。身近にとれる川魚のいだ(うぐい)、あゆは塩焼きか煮つけ、味噌汁などにして食べる。
写真:夏の夕はん
上:なまびとこしょうの焼いたもの、いだの塩焼き/下:そうめん、煮もの(たけのこ、たきな、こしょう、なすび)
出典:福士俊一 他編. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.294-295