聞き書 滋賀の食事 琵琶湖沖島の食より
■昼の弁当――麦飯、鮭の焼きもの、塩こぶ、梅干し
漁に出るときや、女が田畑の仕事や柴刈りに行くときには、「たじ」とよばれる木製の手さげ箱に昼飯を入れて持って行く。たじの中は、仕切り板によって上下二つに分かれている。上段には麦飯を入れたおひつを入れ、下段には茶わん、梅干し、漬物、塩こぶ、塩鮭の焼きもの、醤油、はしを入れる。上下が逆になっているたじもある。
このほかに、茶をわかすやかんを持っていく。船の上で茶をわかすには、がんがん(一斗缶)を半分に切り、しじみの貝殻を敷きつめてからさんとく(五徳)を置き、その上にやかんをのせて柴や薪を焚く。また、とった魚もここで焼き、醤油をつけておかずにすることもある。あったかいごはんがないので、塩鮭のお茶漬をすることが多い。
写真:冬の昼の弁当
おひつに入れた麦飯と、梅干し、塩こぶのおかずを、たじ(左上)に入れて持っていく。おひつは上の段、食器とおかずは下の段に入れる。
出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.17-20