貝、かに、ほやなど

連載日本の食生活全集

2024年02月20日

聞き書 宮城食事 三陸南海岸の食より

利用のしくみ
早春、あわびが口開けになると、小学校は午前中は休みとなり、一家総出で海に出る。小舟一艘で三〇貫目くらいとってくるので、海に蓄養(とったあわびを目かごに入れ、海中につり下げて餌を与えておく)したり、干しあわびに加工するが、その過程で出るきも(内臓)もよく利用している。
潮間帯の岩礁にびっしりと黒い色をして付着している小さいまるこ(むらさきいがい)は、「なた」という平たい金具ではがし、水洗いして味噌汁にする。貝の身は食べず、汁を味わう。磯の香りがよいので病人にも喜ばれる。
ぜんたけっこ(いがい)も味噌汁にするが、大きいものは殻をとって煮しめなどにする。

写真:ぜんたけっこの味噌汁

 

出典: 竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.149-150

関連書籍詳細

日本の食生活全集4『聞き書 宮城の食事』

竹内利美 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540890062
発行日: 1990/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

米どころ宮城は旧伊達藩以来の米どころで、もちの多彩な食べ方を誇る。三陸海岸では四季いろいろな魚貝がとれ、浜の人たちだけでなく、内陸の人々の食膳もにぎわす。
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