亀戸大根や金町こかぶのおしんこを添えて――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年03月08日

聞き書 東京食事 水郷・葛飾の食より

春は、特産の亀戸大根や金町こかぶのほか、高菜、京菜、キャベツ、ねぎなど、野菜がつぎつぎと収穫される季節である。これらの野菜が新鮮な状態で食べられるのは、なんといってもぬかや塩、梅酢などに漬けた漬物である。里芋、やつがしら、じゃがいもや、大豆、いんげんなども、いろいろな煮ものにして、ふだんのおかずにする。
春の農作業には、先にあげた野菜類の出荷に加え、畑の鋤返しや、きゅうり、なす、いんげんの定植、苗代づくりなどがある。
昼――麦飯、じゃがいもの煮もの、しゅんぎくのごまあえ、キャベツの塩もみ
お昼からの野良仕事にそなえ、たくさん食べて力を蓄える。そのためには、麦飯のほかに、じゃがいもなどいも類の入った煮ものをつくる。しゅんぎくのごまあえが献立に変化をつけてくれる。春どりのキャベツは、ごく細いせん切りにしたにんじんと一緒に塩もみにする。ときには、金町こかぶの炒め煮もする。

写真:春の昼飯
上:キャベツの塩もみと金町こかぶのぬか漬、しゅんぎくのごまあえ/下:麦飯、じゃがいもとにんじんの煮もの

 

出典: 渡辺善次郎 他編. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.161-162

関連書籍詳細

日本の食生活全集13『聞き書 東京の食事』

渡辺善次郎 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870989
発行日: 1988/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

昭和初期、巨大都市・東京人は何を食べ、どう暮らしていたか。下町と山の手、都市部と農村部に目配りしつつ、深川・本所・日本橋から世田谷・葛飾・大森・奥多摩・伊豆大島などでの四季折々の食事の世界を再現する。
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