沖たたき、しるこ、いも飯、つめ飯──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年04月09日

聞き書 高知食事 足摺海岸の食より

夕――父が沖から持ち帰る「菜のいお」
晩飯の料理は、菜のいおで決まる。かつおなら刺身にし、あれば、にんにくや青じそをきざんで添えるが、何もなければ、そのままどんぶりに盛って醤油をかける。めじかなら、ぶった切りにして醤油で煮つけ、ごまさばなら刺身、ひらさばなら煮つけか、ごった煮となる。かき、ほのり(ふのり)、浜あざみ(浜ごぼう)を入れた味噌汁や、つわぶき、わらび、ぜんまい、浜あざみなどの山菜の煮もの、くさぎなの若葉のあえものなど、陸でかかや子が収穫したものが並ぶのも、このときである。
主食は、生いも(からいも=さつまいも)の皮をむき、手の平にのせて小切れにしたものに、わずかの麦と米を入れて炊く、いも飯である。いもの上に米粒がぱらぱらとのっているというのが、ふつうである。

写真:春の夕食
上:〔左から〕かつおの刺身、ほのりとねぎのぬた、大菜の漬物とたくあん(以上はとり分けて食べる)/中:ごった煮/下:湯どおし飯、味噌汁(これらはめいめいにつける)

 

出典:松崎淳子 他編. 日本の食生活全集 39巻『聞き書 高知の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.256-260

関連書籍詳細

日本の食生活全集39『聞き書 高知の食事』

松崎淳子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540860256
発行日: 1986/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

酢料理は日本一、豪快な皿鉢料理など土佐の伝統食は南国の香りがいっぱい。その他、山の民俗の宝庫といわれる高知山間の土の香りのする料理の数々を紹介する。
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