阿蘇高菜を浅漬に、菜焼きに――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年03月25日

聞き書 熊本食事 阿蘇の食より

昼――麦飯、菜焼き、高菜漬
お昼のおかずとしては手早く簡単な油炒めがあるが、菜焼きもその一つ。高菜を手で折って洗い、一寸くらいの長さに切り、なべに菜種油を熱し、用意した高菜を入れて炒める。そのほか、揚げ豆腐か棒くじら(白身くじらの塩漬)の薄切りを入れ、醤油で味つけする。
この地方では「青菜は男に見せるな」という諺があるように、ざるいっぱいとってきた高菜も、ゆでたり炒めたりすると、知らない人なら驚くほどに減る。しかし忙しい春の農家のおかずとしては、早くできて重宝なので、お昼に夜に毎日のように菜焼きをする。

写真:春の昼飯
高菜の漬物、麦飯、たけのこのひこずり

 

出典: 小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.23-24

関連書籍詳細

日本の食生活全集43『聞き書 熊本の食事』

小林研三 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870316
発行日: 1987/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 368頁

阿蘇は野焼きでよみがえり、萌え出る山菜や若草は人と牛の生命を育む。急流球磨川の水と豊かな米は生活の酒・焼酎を生んだ。天草の海にはさけんばかりの魚。豊かな肥後。
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