聞き書 熊本の食事 阿蘇の食より
■昼――麦飯、菜焼き、高菜漬
お昼のおかずとしては手早く簡単な油炒めがあるが、菜焼きもその一つ。高菜を手で折って洗い、一寸くらいの長さに切り、なべに菜種油を熱し、用意した高菜を入れて炒める。そのほか、揚げ豆腐か棒くじら(白身くじらの塩漬)の薄切りを入れ、醤油で味つけする。
この地方では「青菜は男に見せるな」という諺があるように、ざるいっぱいとってきた高菜も、ゆでたり炒めたりすると、知らない人なら驚くほどに減る。しかし忙しい春の農家のおかずとしては、早くできて重宝なので、お昼に夜に毎日のように菜焼きをする。
写真:春の昼飯
高菜の漬物、麦飯、たけのこのひこずり
出典: 小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.23-24