箱ずし

連載日本の食生活全集

2020年05月08日

聞き書 静岡の食事 富士山麓の食より

田植えが終わると苗を持ち帰り、荒神さまに供え、ごちそうをつくって早乙女さんをもてなす。
ごはんはふつうに炊き、木鉢に移す。三升の米に酢三合と砂糖を飯茶わんに山二杯、それに塩を少し入れてよく溶かし、ごはんが熱いうちにかけて味つけする。五分くらいおいてから、ごはんを広げながらうちわであおぎ、冷ましてごはんのつやを出す。
すし箱にすし飯を九分目くらいまで入れ、その上にいろどりよくたねを飾りつける。
煎り卵、しいたけ、ささがきごぼう、にんじんなどの煮しめ、けずり節を砂糖と醤油で煮たおぼろなど、それぞれの家で工夫してのせる。

 

出典:大石貞男 他. 日本の食生活全集 22巻『聞き書 静岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.42-43

関連書籍詳細

日本の食生活全集22『聞き書 静岡の食事』

大石貞男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860638
発行日:1986/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

静岡県は日本の食文化上、特異な位置を占める。大井川を境に県内の食文化が二分され、それが日本の東西の食文化の違いにほぼ重なる。民俗学上も貴重な静岡の食事の全貌。
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