聞き書 静岡の食事 富士山麓の食より
田植えが終わると苗を持ち帰り、荒神さまに供え、ごちそうをつくって早乙女さんをもてなす。
ごはんはふつうに炊き、木鉢に移す。三升の米に酢三合と砂糖を飯茶わんに山二杯、それに塩を少し入れてよく溶かし、ごはんが熱いうちにかけて味つけする。五分くらいおいてから、ごはんを広げながらうちわであおぎ、冷ましてごはんのつやを出す。
すし箱にすし飯を九分目くらいまで入れ、その上にいろどりよくたねを飾りつける。
煎り卵、しいたけ、ささがきごぼう、にんじんなどの煮しめ、けずり節を砂糖と醤油で煮たおぼろなど、それぞれの家で工夫してのせる。
出典:大石貞男 他. 日本の食生活全集 22巻『聞き書 静岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.42-43