ちまき、おさすり
聞き書 三重の食事 紀伊山間の食より
端午の節句のお祝いのもち。ちまきは男の子を、おさすりは女の子を表わす。
川笹ととしめぐさを、川原でとって来る。米の粉を適量用意し、水を入れてこねる。ほんの一つまみ塩を入れ、手でにぎれるくらいの固さにする。茎がついたままの川笹の葉三枚に、人差し指ぐらいににぎったちまきを包み、その笹の葉がほどけないように、としめぐさでぐるぐる巻きにし、茎をつけたまませいろで蒸す。ちまきは味がついてないので、黒砂糖をつけたり、砂糖醤油をつけたりして食べる。川笹の香りがほのかについてうまい。
おさすりは、米のもちによもぎを搗きこみ、中に小豆のあんこを入れる。よもぎは摘みたての若芽をゆがき、水にさらし、細かくきざむ。米の粉を水でこね、せいろで蒸し、よもぎを搗きこむ。小判形に薄くのばし、中にあんこを入れ、合掌するようによもぎ入りの皮を合わせ、外側をえべついばら(さるとりいばら)の大きい葉っぱなら一枚で、小さなものなら二枚で巻き、もう一度せいろで蒸す。
人差し指のようなちまきと、はまぐりの貝のようなおさすりは、子どもが健やかに育つことを祈ってつくる。