釜焼きもち

連載日本の食生活全集

2020年06月26日

聞き書 鳥取の食事 因幡山間の食より

旧六月十五日には、みょうがの葉で包んだあん入りの焼きもちをつくり、水神さんに供える。
ただ米九割、もち米一割のくず米を水車ではたぎ、一升五合くらいの粉をまとまるていどに水を入れてこねる。一せいろに三合くらいのもち米を敷き、こねたものを小さくちぎって上にのせ、十分に蒸して臼で搗く。搗きあがったら小豆あんを入れて丸め、みょうがの葉で巻いて、余った葉は切り落とす。十分に焼けた鉄なべで、こんがりと焼き目をつけて焼きあげる。
あんには、そらまめのあんを入れるところもある。
神さんや仏さんに供えてから、みんなで食べる。

 

出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.113-113

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
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