聞き書 長野の食事 西山の食より
春蚕から晩秋蚕まで蚕の世話に明け暮れるが、その副産物としてさなぎがある。とくに九月から十月にかけての玉繭(大きな繭)やさび繭は価格が安くなるので、自家用として煮て、真綿をとったり、糸を引いたりする。
残ったさなぎはきれいに洗い、ほうろくに入れて空煎りし、醤油と砂糖で煮つける。ごはんのおかずになる。
これを食べると、力がでるし、元気づくのである。
出典:向山雅重 他. 日本の食生活全集 20巻『聞き書 長野の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.278-279