けんちん汁

連載日本の食生活全集

2020年11月06日

聞き書 群馬の食事 高崎近郊の食より

けんちん汁は、秋から冬にかけては日常よくつくる汁ものであるが、節分、十五夜、十三夜、恵比須講などの行事にも欠かせない料理である。松本家では、恵比須講につくるけんちん汁には、秋につくったかち栗を必ず入れる。
豆腐はふきんで包み、まないたにのせて三〇分ほど水切りをする。かち栗は水につけておく。大根、にんじん、こんにゃくは短冊切りにし、ごぼうはささが切り(ささがき)、里芋は角切りにする。
なべに油を熱し、大根、にんじん、里芋、こんにゃく、ごぼうを入れてよく炒める。次に、水切りした豆腐を入れて炒め、水と煮干しを入れ、次にかち栗を加えてよく煮る。野菜や栗がやわらかくなったら、醤油を入れて味をつけ、最後にはすに切ったねぎを入れて煮る。

写真:かち栗(右)は水につけてもどしてから使う。

 

出典:志田俊子 他. 日本の食生活全集 10巻『聞き書 群馬の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.146-146

関連書籍詳細

日本の食生活全集10『聞き書 群馬の食事』

志田俊子 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540900051
発行日:1990/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

かかあ天下に空っ風の上州は「粉もの王国」。「おきりこみ」の味は絶品で、夕食には"つるつる"の音が家中に広がる。みそまんじゅうやおやきも詳しく紹介。
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