聞き書 兵庫の食事 播州平野の食より
冬の大根は煮るとやわらかく、甘みがある。こいもは菜園からの掘りたては、もっちりとしておいしい。日が短くなった晩秋から冬にかけて、早めに外仕事を片づけて、少々手間をかけて煮ものをつくる。
大根は二分か三分くらいの厚さの輪切りか半月切りにする。こいもの掘りたての皮は、包丁でこそげれば簡単にむける。二つ割りや三つ割りくらいの大きさがよい。揚げは枚数が少なければ幅の狭い小口切り、多いときはやや大きめの三角切りが似合う。
なべにたっぷりの水にだしかつおと、大根、こいも、揚げを入れてことことと煮る。醤油は炊きはじめに入れる。弱火で煮ると味がよくしみこんでおいしい。揚げが入ると味にまろみが出る。
煮るとき、二日分くらいの量を大なべでつくることもある。二日目分はもう一度温めるので味が濃くなる。お菜づくりの手間を省くことにもなる。
出典:和田邦平 他. 日本の食生活全集 28巻『聞き書 兵庫の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.139-139