聞き書 長崎の食事 対馬の食より
ろっぽうは海岸の浅いところに一年中いるが、とくに二月から四月までの磯建網でとることが多い。たたきや味噌汁にして食べるとうまい。
たたきにするには、まず口の歯の固いところと、背びれ、腹びれを落とす。背びれを落としたところから指を入れて皮をはぐ。尾のほうに傷をいれて、そこからはぐ人もいる。かわはぎの名のとおりよくはげる。次に腹わたを出し、全体を水で洗い、まないたにのせて包丁でたたき、みじん切りにする。それをはしでとって酢味噌をつけて食べる。混ぜて食べる人もいる。また、きも(肝臓)を一緒にたたいたものの味はたまらないという人もいる。酒のさかなにはもちろん、ごはんの菜にしてもよい。
写真:ろっぽうのたたき 骨ごとたたき、酢味噌で食べる。舟上で食べる味は格別。
出典:月川雅夫 他. 日本の食生活全集 42巻『聞き書 長崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.309-310