ろっぽうのたたき

連載日本の食生活全集

2021年01月15日

聞き書 長崎の食事 対馬の食より

ろっぽうは海岸の浅いところに一年中いるが、とくに二月から四月までの磯建網でとることが多い。たたきや味噌汁にして食べるとうまい。
たたきにするには、まず口の歯の固いところと、背びれ、腹びれを落とす。背びれを落としたところから指を入れて皮をはぐ。尾のほうに傷をいれて、そこからはぐ人もいる。かわはぎの名のとおりよくはげる。次に腹わたを出し、全体を水で洗い、まないたにのせて包丁でたたき、みじん切りにする。それをはしでとって酢味噌をつけて食べる。混ぜて食べる人もいる。また、きも(肝臓)を一緒にたたいたものの味はたまらないという人もいる。酒のさかなにはもちろん、ごはんの菜にしてもよい。

写真:ろっぽうのたたき 骨ごとたたき、酢味噌で食べる。舟上で食べる味は格別。

 

出典:月川雅夫 他. 日本の食生活全集 42巻『聞き書 長崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.309-310

関連書籍詳細

日本の食生活全集42『聞き書 長崎の食事』

月川雅夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850011
発行日:1985/04
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 378頁

海岸線が全国で一番長い県・長崎。離島が群れなす長崎。中国と南蛮の影響。さつまいもの料理が一番発達している長崎。さまざまな長崎のさまざまな料理の全貌を紹介する。
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