聞き書 宮崎の食事 都城盆地の食より
いもん子の吸いもんは、正月の元日に雑煮のかわりに食べる。里芋は子が多くできることから、子孫繁栄を願ってこの日に食べている。
いもん子は、皮をはいで三つか四つに切る。こんぶは細く切り、豆腐やてんぷら(魚のすり身を揚げたもの。行商人から買う)は、適当な大きさに切る。これらとしいたけ、おやし(大豆のもやし)を一緒に、いりこ(煮干し)か、かしわ(鶏肉)のだしで煮る。塩、醤油で味をつけた、実だくさんの吸いもんである。
出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.259-260