かにの味噌汁

連載日本の食生活全集

2021年02月15日

聞き書 鳥取の食事 因幡海岸の食より

さい分けの親がに(ずわいがにの雌)をよく洗い、縦半分に切る。なべで水からかにを煮て、煮たったら薄い短冊切りにした大根を入れる。大根が煮えたら味噌を入れる。
大根はかにの味噌汁にぴったりの出合い(相性のよい)ものである。冬の食卓の楽しみの一つである。
三月ころにはひなさんがにを入れた味噌汁もつくる。ひなさんがにを縦横四つに切り、水から入れて沸騰させ、味噌で味つけしたあと、薄い短冊に切った大根を入れ、やわらかくなるまで煮る。親がにより脂が少なく味がかるい。
どんな種類でも、生きたかには必ず水から煮る。煮たった湯に入れると脚やはさみがおちて形がくずれる。賀露の家庭では、入手しやすいのでたいてい生きたかにを使う。

 

出典:福士俊一 他. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.39-40

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
田舎の本屋で購入

このカテゴリーの記事 - 日本の食生活全集
おすすめの記事