聞き書 宮崎の食事 都城盆地の食より
■夜―あわ飯、馬肉と野菜の味噌炒め、漬物
春は蚕や畑仕事など大変忙しい。朝早くから夜おそくまでの作業で、疲れもひどい。元気をつけるために、たまには肉を食べる。肉といっても馬肉がほとんどであるが、豚の脂身のせしからもよく使う。朝から計画しておいて、鶏をつぶして食べることもある。馬肉、せしから、かしわは、どれもたいてい大根などの根菜類と一緒に煮る。肉の煮えるにおいが食欲をそそり、明日の作業の力の源になる。
また、野菜の煮しめもよくつくる。志布志から売りに来るいわしやとびうお、あじなどの干しものやけずり節(かつお節をけずったもの)も貴重なおかずである。
写真:春の夕食
馬肉と野菜の味噌炒め(じゃかいも、大根、にんじん、たまねぎ)、高菜漬、あわ飯、たけのこの味噌汁
出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.240-241