聞き書 大分の食事 大分市近郊の食より
■盆
七月十三日のお迎えの日は、午後二時には五つ回りの御料供膳を仏壇に供える。手水盥に水を張り、お縁の下に準備する。もどってきたご先祖さまが足を洗うためである。家の戸はすべて開け放し、ご先祖を迎える。
この日は酒まんじゅうをつくる。水に白飯とこうじを入れ、小粕(小麦をすった粕)を加える。半日もおくと酒まんじゅうの素ができる。この酒まんじゅうの素で小麦粉をこね、あんを包んで蒸す。ようけつくっておき、盆の間、蒸しなおして食べる。
十四日は、やせうまを仏壇に供える。盆のやせうまは黒砂糖を混ぜたきな粉をまめす。
十五日はご先祖さまがお帰りになる。仏壇には、やせうまとおみやげだんごを供える。おみやげだんごはもち米の粉でつくるにぎりだんごである。にぎりだんごをやせうまでくびって、ご先祖さまが持ってお帰りになるという。
盆料理はうどんを打つほか、ほうちょうをつくる。こねた小麦粉をこよりをひねる要領で四尋ほどにのばし、ゆでたものがほうちょうである。手間がかかるのでふだんはめったにつくれないが、盆歩きの親族を、ほうちょうでもてなす。
写真:お盆のごちそう
左:にぎりだんごとやせうま/右:酒まんじゅう
出典:波多野道義 他. 日本の食生活全集 44巻『聞き書 大分の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.31-32